12月11日
- 公開日
- 2022/12/11
- 更新日
- 2022/12/11
お知らせ
12月11日は、2019年秋の褒章受章者に選ばれた漫画家の秋本治さんの誕生日だそうです。
秋本治さんは、集英社の「週刊少年ジャンプ」で40年間連載した「こちら葛飾区亀有公園前派出所」、通称「こち亀」の作者です。
そんな秋本さんは、2016年まで40年間の間一度も休むことなく連載したことでも知られていて、2009年にご出演された「情熱大陸」では、秋本さんの漫画家生活が余すところなく放映され、話題となったそうです。
その際の、40年間もの間休載することなく、コンスタントに漫画を描き続けられた秘訣、ライフスタイルについて、以下に紹介してみます。
まず、どんな環境でどんな風に仕事をしているかについても、忌憚なく回答してくださっているそうです。
それによると・・・
○仕事場は葛飾区にある「アトリエびーだま」。
○毎日のスケジュールががっちり決まっている。
朝の7時から夜の8時まで、ご飯休憩を除きずっとお仕事しているそうです。
さらに、スケジュール管理におけるルールも明確だそうです。
時間になれば仕事は終了させ、残業は滅多にしない。もし仕事が残っていれば家に持ち帰る。
アシスタントさんは7名で、出勤・退勤時は必ずタイムカードを打刻する。
漫画家といえば、深夜まで書き続けるイメージがありますが、このような規則的な生活を送ることが40年という長期連載を安定的に続けるポイントのなのだと思います。
「アシスタントさんの生活を安定させたい」とも語っており、全員にクリスマスプレゼントをするなど、一緒に働く仲間のこともきちんと考え、気遣いする姿勢は尊敬です。
ちなみに、昼食はいつも奥様が作られたお弁当だそうです。
アトリエ以外の「第2の仕事場」もあるそう。
○週1回、ファミレスでネーム作業
○開店と同時に開始、夜の7時まで計9時間ぶっ通しで作業
○席を立つのは、トイレとコーヒーのおかわりの時だけ
ネームを書くときはとにかく集中をしていたことがわかります。
それにしても、ファミレスで「両さん」のネーム作業…偶然居合わせたファンの方々は、たまらない場面であったと思います。
ネタ元や「両さん」を描くときのポイントなど、制作秘話も明かされていたそうです。
○右利きで、漫画を書くときはいつも右手に白い手袋をしている
○これまで描いた原稿は全て自分で管理している
○特技は「締め切りに遅れないこと」
○ネタ元は「新聞」。理由は、テレビだと一気に全国に広まってしまうが、新聞は読んでいる人が少ないから。
○両さんを描くときにはいつも眉毛から描く。理由は、両さんの眉毛はちょうど中心に来るので、目とか鼻のバランスが取りやすいから。
○小物や背景の細部まで、細かく再現する。足と目で取材がモットー。例えば、「警官の制服からベルトがどの程度見えているか」「バッグのボタンの数」など写真を見て再現。浅草の遊園地「花やしき」の門が新しくなった事も、漫画に反映。
○4ページ目までが勝負だと思っている。4〜5ページ目まで飽きずに読めるなら一気に読んでもらえる。
「神は細部に宿る」と言いますが、まさにその言葉通りで、「いつも笑わせる」漫画を描くためには、知られざるこだわりと努力があるのだと強く感じました。
ちなみに、ギャンブル好きの両さんに対し、秋本さんはギャンブルはやらないそうです(笑)。
「飽きたりすることはないんですか?」の質問に対し、「10年目、20年目の節目に考えますよ。自問自答して「よし!新キャラ出してみよう」とか、別な展開を考えてみよう、とか工夫します」と回答しているそうです。
さらに、「ありがたいことに、好きなことが仕事になって、締め切りを守ったら褒められる。昔は漫画かいてて怒られたから、こんな良いことはないですよ」と続け、「この年になっても面白いものができて、『早く読者に見せたいな』っていうのがあるんで、それが一番魅力なのかな?」と語っているそうです。
撮影当時は2009年なので、連載開始から33年ほど、33年続けてきて「面白いものができた」「早く読者に見せたい」って気持ちが湧くのって、心から感心させられます。
やはり続けるためには「漫画を描くのが好き」ということに尽きるとともに、漫画家でなくても私たちが何か一つのことを続けるための秘訣でもあるなと改めて思いました。
秋本治さんの仕事ぶりから、「好きになる」ことの大切さを改めて学べた12月11日となりました。