学校日記

チーム守中コラム〜見取り

公開日
2022/05/24
更新日
2022/05/24

お知らせ

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 前回,「見方,考え方」というテーマでお話ししましたが,今回は,「見取り」についてお話ししたいと思います。

 「見取り」と聞くと,私は「見取り稽古」という言葉を思い浮かべます。自分が柔道をしていた高校生時代,怪我で練習ができない時に,顧問から見取りを大切にして見学をしていろと言われていました。自分が中学校で顧問になった時も,生徒に同様の話をしました。

 話はずれるかも知れませんが,私が柔道部の顧問をしていた時,何度か選手が関東大会,全国大会に出場することがあり,私は引率として大会に参加しました。いろいろな方から,先生は凄いとか,指導力があるとか言われたことがありますが,私は一切そのようなことは思わず,逆に頑張った生徒に大会に連れて行ってもらっている,凄いのは生徒の方だ!と思っていました。

 というのも,柔道経験者とはいえ,せいぜい東京都大会予選で敗退する,決して強くない私にとっては,勝ち上がっていく教え子は,光り輝いて眩しい存在で,尊敬の念までありました。

 ただ,私はそんな光り輝く教え子や,強くはなくても一生懸命稽古に励み,努力を重ねる教え子たちの練習風景を見取る,いわゆる見取り稽古をさせてもらったお陰で,体(たい)のバランスや,技のタイミング等について,的確に判断できる眼を養わせてもらいました。これには,「主観と客観」の関係が関わってきます。見取りをしていて気付いたものを,自分の経験=主観の観点から判断し,吸収する。それを繰り返している内に,教え子のさまざまな動き等を見取った経験値が,自分の中で,自分の主観を越えて客観になった様な気がします。ひょっとしたら,私的には自分が強くない選手でよかったのかなあとも思ったりします。生徒にとっては私のアドバイスは,まさしく客観であるので,それを生徒の主観にどれだけ迫らせることができるか,という伝え方を,私なりに工夫してきたつもりです。

 物事を「見取る」ことや,主観と客観を考えることは,人生にとって大切なことだと思います。まだまだ至らない私にとっては,先人や諸先輩の功績を見取り,吸収して少しでも自分に生かせればと日々思っています。